読むと人生が狂うかもしれない本-ジョン・クラカワー著『荒野へ』
本記事は読書会アドベントカレンダーの14日目の記事です。
海外でベストセラーになり、映画『INTO THE WILD』の原作でもあるノンフィクション『荒野へ』の感想を書いています。
映画trailer
先日、Twitterのタイムラインでこんなツイートを目にしました。
そういえば思い出した。
出版社の青年と飲んでいて、話の流れで本屋の使命は何か?と自分に問うて出た答えは…
「人の人生を狂わせること」
こんな本もでてますね。
『人生を狂わす名著50』
なんの気なしに読んだ本のせいで、いまの人生を見つめ直し、自分でも思わぬ方向に人生が転がり出す…実際にそうなったかはさておき、読書好きなら、本にそれだけの魔力があることはわかるでしょう。
『荒野へ』の主役であるクリス・マッカンドレスは、本が好きな文学青年であり、読んでいた本や作家に影響を受け、結果として、冬のアラスカで死に至ります。
いま不意にネタバレぽいことを言いましたけど、あらすじに書いてありますから私は悪くない。
はい、ここであらすじ
アラスカの荒野にひとり足を踏み入れた青年。そして四か月後、うち捨てられたバスの中で死体となって発見される。その死は、やがてアメリカ中を震撼させることとなった。恵まれた境遇で育った彼は、なぜ家を捨て、荒野の世界に魅入られていったのか。登山家でもある著者は、綿密な取材をもとに青年の心の軌跡を辿っていく。全米ベストセラー・ノンフィクション。
BOOKデータベースより引用
映画を見ている方のほうが多いでしょう。映画と原作の違いは、映画はクリス視点でストーリーが進みますが、原作はあらすじのとおり、著者が、クリスがアラスカへ向かう足跡をたどり、クリスが交流した人々にインタビューするルポルタージュとなっています。
映画ではクリスがなぜアラスカへ向かったのか、アラスカでなければいけなかったか、いまいち分からないのですが、原作ではその理由が分かります。
それは先にも述べた、クリスが影響を受けた本を見れば一目瞭然です。
クリスが書いた日記が残っていて、それには本の引用がたびたび用いられます。
アラスカへ向かう旅の途中で、仲良くなった友達にトルストイの本をすすめたりもしています。
トルストイ推しです。
そしてジャック・ロンドン信奉者でもあったようです。
ジャック・ロンドンの『野生の呼び声』のあらすじをご覧あれ。
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。
BOOKデータベースより引用
もうお分かりでしょう?
そのまんまなんですよね。
分からなかったら、もう一度『荒野へ』のあらすじに戻りましょうか。
唐突にまとめに入りますけど、本は人生を狂わすかもしれないので気をつけましょうね。
でも私に言わせると、本が人生を狂わせるんじゃなくて、もともと狂っていたことを本が気づかせてくれてるかもしれないですけどね、ケケケ(・∀・)
最後に、クリスはカメラで自分の写真を残していて、死ぬまぎわの写真もたしか原作に載ってたと思うのですが(ネットの記事だったかも)それを是非見てほしいです。
ミステリー小説の結末をその場で読む読書会
『ミステリー小説の結末をその場で読む読書会』
読書会でこういう企画をやっています。
説明すると…
①事前に課題本のミステリー小説を指定の箇所まで読んでおく
②当日に読んだところまでの感想と、どういう結末になるか予想を話し合う
③その場で結末を読む
④感想を話し合う
こんな感じです。
ミステリー小説はどんでん返しで有名な作品を選んでいます。タネあかしの場面で、「うわ〜、そういうことか〜!!」という驚きを、参加したみんなで共有するのも面白いかと思いまして。
せっかく集まるんだから、集まってでしかできないことはないかなと考えて、こんな企画になりました。
第一回は乾くるみの『イニシエーションラブ』でした。「どんでん返し 小説」などで検索すると必ず名前があがる小説です。
ラスト2行でこの本の仕掛けがわかるとのことだったので、ちょっと早めに読み終えて他の参加者を見ていると、該当のところで『( ゚д゚)!!!』って顔になるのが面白かったです(悪趣味)
第二回は歌野晶午の『葉桜の季節に君を想うということ』
タイトルにあわせて、葉桜の季節の5月(であってる…?)に開催を予定しています。
4月頃にこちらのブログやTwitter(@tomarigidokusyo)で参加者を募集します。
ぜひお越しください〜
これまでに開催した読書会
とまり木読書会は、まだ始めたばかりの読書会です。
どんな感じの読書会か、これまで開催した読書会を紹介します。
ミステリー小説の結末をその場で読む読書会
読書会までに、本の最後の手前まで読んできて、まずはそこまでの感想を話し合って、結末を予想してから、その場で最後まで読む読書会を開催しました。
課題本は乾くるみの『イニシエーションラブ』
けっこう、楽しいんですよこれ☺
少しでも読書会の雰囲気が伝わったでしょうか
とまり木読書会では、みなさまの参加をお待ちしております…!
とまり木読書会とは?
東京と横浜で『とまり木読書会』という本の話をする集まりをやっています。
読書会は大人数のものから少人数のものまで、個人が主催していたり会社が主催していたりと様々ですが、とまり木読書会は個人かつ少人数で、カフェなどでこじんまりと集まって、あれこれ本の話をしています。
このまえ読んだあの本の、ここが良かったとか、話しましょう〜。