とまり木読書会〜東京と横浜で本の話〜

東京・横浜の零細読書会

読むと人生が狂うかもしれない本-ジョン・クラカワー著『荒野へ』


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本記事は読書会アドベントカレンダーの14日目の記事です。

 

海外でベストセラーになり、映画『INTO THE WILD』の原作でもあるノンフィクション『荒野へ』の感想を書いています。

 

映画trailer

https://youtu.be/2LAuzT_x8Ek

 

 

先日、Twitterのタイムラインでこんなツイートを目にしました。

 

そういえば思い出した。

出版社の青年と飲んでいて、話の流れで本屋の使命は何か?と自分に問うて出た答えは…

 

「人の人生を狂わせること」

 

こんな本もでてますね。

 


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『人生を狂わす名著50』

 

なんの気なしに読んだ本のせいで、いまの人生を見つめ直し、自分でも思わぬ方向に人生が転がり出す…実際にそうなったかはさておき、読書好きなら、本にそれだけの魔力があることはわかるでしょう。

 

『荒野へ』の主役であるクリス・マッカンドレスは、本が好きな文学青年であり、読んでいた本や作家に影響を受け、結果として、冬のアラスカで死に至ります。

 

いま不意にネタバレぽいことを言いましたけど、あらすじに書いてありますから私は悪くない。

 

はい、ここであらすじ

 

アラスカの荒野にひとり足を踏み入れた青年。そして四か月後、うち捨てられたバスの中で死体となって発見される。その死は、やがてアメリカ中を震撼させることとなった。恵まれた境遇で育った彼は、なぜ家を捨て、荒野の世界に魅入られていったのか。登山家でもある著者は、綿密な取材をもとに青年の心の軌跡を辿っていく。全米ベストセラー・ノンフィクション。

 

BOOKデータベースより引用

 

映画を見ている方のほうが多いでしょう。映画と原作の違いは、映画はクリス視点でストーリーが進みますが、原作はあらすじのとおり、著者が、クリスがアラスカへ向かう足跡をたどり、クリスが交流した人々にインタビューするルポルタージュとなっています。

 

映画ではクリスがなぜアラスカへ向かったのか、アラスカでなければいけなかったか、いまいち分からないのですが、原作ではその理由が分かります。

 

それは先にも述べた、クリスが影響を受けた本を見れば一目瞭然です。

 

クリスが書いた日記が残っていて、それには本の引用がたびたび用いられます。

アラスカへ向かう旅の途中で、仲良くなった友達にトルストイの本をすすめたりもしています。

トルストイ推しです。

そしてジャック・ロンドン信奉者でもあったようです。

 

ジャック・ロンドンの『野生の呼び声』のあらすじをご覧あれ。

 


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ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。

 

BOOKデータベースより引用

 

もうお分かりでしょう?

 

そのまんまなんですよね。

分からなかったら、もう一度『荒野へ』のあらすじに戻りましょうか。

 

唐突にまとめに入りますけど、本は人生を狂わすかもしれないので気をつけましょうね。

 

でも私に言わせると、本が人生を狂わせるんじゃなくて、もともと狂っていたことを本が気づかせてくれてるかもしれないですけどね、ケケケ(・∀・)

 

最後に、クリスはカメラで自分の写真を残していて、死ぬまぎわの写真もたしか原作に載ってたと思うのですが(ネットの記事だったかも)それを是非見てほしいです。